介護の仕事に携わり、気がつけば二十年以上が経ちました。母が脳内出血で倒れたことが、この道に進む大きなきっかけでした。何もできずに戸惑う自分が悔しくて、少しでも力になりたい一心で介護の資格を取りました。しかし、母を自宅で看取るという願いは叶わず、その後悔は今も心の奥に残っています。その後悔は、私にとって大切な想いの原動力になっています。
だからこそ、ご入居者の方々と向き合うとき、その方の声にしっかりと耳を傾けることを大切にしています。小さな願いから長年抱えてきた想いまで、言葉の奥にある気持ちを感じ取り、できる限り叶えて差し上げたいと思っています。ホームでのパンバイキングや、カフェの企画などで小さな願いが形になった瞬間に見せてくださる優しい笑顔や、「ありがとう」「あなたがいてくれて良かった」という言葉は、胸の中に温かく広がり、この仕事を続ける力になっています。
これからも、母への想いをそっと胸に抱きながら、ご入居者の声に寄り添い、その方が望む時間を少しでも多く叶えられるように努めていきたいと思います。日々の小さな喜びや穏やかな瞬間を一緒に大切にしながら、その方らしい暮らしを見守り、支えられる存在でありたいと心から願っています。